ニンジンに含まれる注目の成分
βカロテン、クロロフィル、テルペン
期待される作用
がん予防、整腸作用、コレステロール値低下
ガン予防の強い味方のβカロテンが豊富なニンジン
ニンジンにはガンの予防・抑制に大きな効果があるβカロテンが豊富に含まれているので注目されています。
そして、βカロテンだけでなく、αカロテンも豊富に含まれており、αカロテンはカロテノイドの一種で、動物実験ではβカロテンよりも高いガン抑制作用が認められています。
βカロテンやαカロテンは体内で一部がビタミンAに変化して、その残りがカロテンのまま血液中に入り、ガンを予防したり進行を遅らせたりするのに役立ちます。
血液中のβカロテン濃度を調べたところ、健康な人が71%だったのに対して、胃ガンの人は66%まで低下していたとの調査報告があります。
このことより血液中のカロテン量が減ると、ガンの発生率が高まるのではないかと言われています。
喫煙をしている人がサプリメントでビタミンA(βカロテン)を多量に摂取すると、肺ガンの発症率が高くなったとの実験結果もあります。
βカロテンの摂取はサプリメントではなく、ニンジンなどの食材で摂るようにした方が良さそうですね。
生命エネルギーの不足を補ってくれるニンジン
ニンジンは肝の働きを正常にして、貧血や夜盲症の予防に期待できます。
目の疲れや視力低下の改善に役立ち、食欲不振や便秘の改善にも有効です。
βカロテンは抗酸化作用が非常に強く、活性酸素を無毒化して老化やガン予防に働く他に、体内で必要なだけビタミンAに変わります。
ビタミンAは皮膚や粘膜を強くして、体外からの異物の侵入を抑え免疫力を高めて細菌やウイルスから身を守り、腸管の消化吸収能力を高めてくれます。
セリ科ニンジン属 ニンジンの栄養成分
可食部100gあたり 日本食品標準成分表2015年版(七訂)参照
人参 皮むき 生 | 人参 皮むき ゆで | 1日の食事で必要な推奨量 | ||
男性30~49歳 | 女性30~49歳 | |||
食物繊維 | 2.4g | 2.8g | 20g以上 | 18g以上 |
カリウム | 270mg | 240mg | 3000mg以上 | 2600mg以上 |
カルシウム | 26mg | 29mg | 650mg | 650mg |
βカロテン | 8300μg | 8700μg | 900μg | 700μg |
レチノール | 690μg | 730μg | ||
ビタミンD | 0 | 0 | 5.5μg | 5.5μg |
ビタミンE | 0.5mg | 0.4mg | 6.5mg | 6.0mg |
ビタミンK | 18μg | 18μg | 150μg | 150μg |
ビタミンB2 | 0.06g | 0.05g | 1.6mg | 1.2mg |
ビタミンB12 | 0 | 0 | 2.4μg | 2.4μg |
葉酸 | 23μg | 19μg | 240μg | 240μg |
ビタミンC | 6mg | 4mg | 100mg | 100mg |
単位:μg(マイクログラム)とは、
1g=1000mg=1000000μg
1μg=0.001mgになります。
ニンジンに含まれる100gあたりのβカロテンの含有量は、野菜の中では青じその11mg、モロヘイヤの10mgに次いで高い数値を示しています。
一般的に1日に最低限必要なβカロテンの量は、ニンジンなら普通サイズで約半分の量の約60g程度でまかなえますが、青じそなら55g程食べなければいけない事になります。
保存方法
湿気に弱いので水気をふいて新聞紙などに包んで冷暗所で保存します。
夏場などはポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
食べ合わせによる相乗効果
ニンジン+牛肉:貧血予防
ニンジン+干しブドウ:疲れ目の改善
ニンジンのβカロテンを効率よく摂取する方法
βカロテンは皮のすぐ下に多いので、皮を薄くむくか、無農薬のものを選んで皮ごと食べると効率よく摂取できます。
βカロテンを多く含む皮を捨てるのがもったいないと思われる方は、大根とニンジンの皮を千切りにして油で炒め、きんぴらにすると、歯ごたえがあり、栄養価も高い一品が出来ます。
また、油と一緒に摂るとカロテンの吸収率が上がるという利点もあります。
注意事項
生のニンジンにはアスコルビナーゼという他の野菜のビタミンCを破壊する酵素が含まれています。
ただ、このアスコルビナーゼという酵素は熱と酢に弱いので、ゆでたり、酢を使った料理にすると破壊作用が消滅するので、あまり神経質になる必要性はないようです。
ニンジンの原産地
ニンジンの原産地はアフガニスタンで、そこから東西に分かれて広く伝わりました。
その為、ニンジンは大きく分けて2種類に分けられ、トルコを経てヨーロッパに伝わった「西洋種」とアジア東方に伝わった「東洋種」があります。
日本には、江戸時代に中国から東洋種が伝わったと言われています。
その頃は根も葉も食べていましたが、明治以降に西洋種が入ってきて、根の部分だげを食べるようになったそうです。
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